「戦時下」のおたく

「戦時下」のおたく

「戦時下」のおたく

ササキバラ・更級コンビのアニメ批評は歯に衣着せぬ物言いで面白いのだけど、それ以外はなんともかんとも。


ライトノベルをめぐる言説について、大塚英志斎藤環対談がかなりヒドイ。(編集部がとても大人のまとめかたをしたそうだが実際はアレだったと後で書いてある。だろうなー)

批判から新しい物が生まれるか?という斎藤氏の指摘は正しいし、大人の意見に思える。そんなにファウスト系の作家が嫌いなのかしらん。売り上げ上西尾維新は褒めると言うなら、NHKにようこそ!がアニメになったら滝本竜彦も褒めるのか?という話になっちゃう。

ラノベブームでクズのような作品が大量に出たのはいいとして、底辺が広がらないことには話にならないのはわかっているから自分もキャラクター小説の作り方を書いたのだと思うけど。もし単にファウスト系の作家連中が自分の思ってる方向に行かないからだというならなんだかなあである。

先日死刑判決の出た宮崎勤に関しても、彼を切り捨てることは出来ないというスタンスで有名なんだけど、こないだ新聞に出たコメントを読んだかぎりこの事件が社会のせい、というのはちょっと違うと思う。


それと更級・ササキバラコンビと今のオタクはわからんとかダメだとかひたすら言ってるだけの対談が載ってるのだけど、大塚氏が語っているのはあくまでも「おたく」であって「オタク」ではない、ということに気がついた。昔の新人類が今のオタクになったなんて、単なる罵倒語の羅列に過ぎない。


そう、この本は「おたく」について語った本で、「オタク」について語った本ではないのだ。いったいオタクって何よ?という今の状況でおたくを語られてもなあ、というのが正直な感想。よくわからないけどアニメやゲームの好きな若者、という程度にしか使ってないのかな。オタクの定義のない時代に定義をやり直すのも面倒ではあるけれど。